「参加したい気持ちを正直に書けば、ちゃんと伝わる」。そう考えてエントリーシートを出し、面接にすら呼ばれないまま夏が終わる人がいます。
サマーインターンの志望動機は、気持ちの強さで通るものではありません。むしろ、企業が最も見ているのに、多くの学生がいちばん力を抜いてしまう設問です。この記事では、採用担当が志望動機・ES(エントリーシート)で何を見ているのかを起点に、書類選考を「面接に進める1枚」に変えるための型と、ダメな例の直し方を具体的に見ていきます。
サマーインターンのESで、企業は志望動機の「何」を見ているか
まず、企業と学生の認識がどれだけズレているかを数字で見てください。就職みらい研究所『就職白書2026』(2026年2月)によると、企業が採用基準で重視する項目は「人柄」93.8%、「自社への熱意」73.4%、「今後の可能性」71.0%の順でした。一方、学生が面接などでアピールした項目を見ると、「その企業への熱意」はわずか20.6%にとどまります。
企業が7割以上重視している「熱意」を、アピールできている学生は2割ほど。この約3.5倍の開きは、前年の『就職白書2025』(企業73.9%に対し学生18.4%)でも同じ傾向で、たまたまその年だけの話ではありません。志望動機は、差がつくとわかっているのに、ほとんどの応募者が落としている領域です。だからこそ、ここを丁寧に詰めるだけで通過率は変わります。
インターンの志望動機は、本選考の志望動機と別物
サマーインターンの志望動機でいちばん多い失敗は、本選考の志望動機をそのまま書いてしまうことです。
本選考で問われるのは「なぜ入社したいか」。けれどインターンで問われているのは、「なぜ、この夏にこのプログラムへ参加したいのか」です。入社理由を語る場ではありません。とくにBtoC企業を志望する人は、商品やサービスの利用者目線、つまり消費者としての好きを書いてしまいがちです。「御社の製品が好きなので参加したい」――この一文では、働き手として何を見に来たのかが伝わりません。
企業がインターンの志望動機で確かめているのは、参加意欲と、その奥にある「働く場として自社をどう見ているか」です。商品への好意そのものではなく、その会社で何を学び、何を持ち帰ろうとしているのか。視点が消費者のままか、働き手に切り替わっているか。採用担当はそこを読んでいます。
ES1枚の精度が、夏のスタートを左右する
サマーインターンへの参加は、もう特別なことではありません。就職みらい研究所の調査(2026年卒、2024年11月公表)では、9月時点でインターンシップ等に参加した学生は78.8%、平均参加社数は5.75社でした。8割近くが参加し、1人あたり平均5社以上。応募の母数が増えれば、書類で絞られる場面も当然増えます。
通過率を「何割」と断言する公的なデータはありません。ただ、複数社へ同時に出すのが普通だという事実はあります。学生がESを出す社数は、本選考の調査でも「10〜19社」が最多でした(内閣府「学生の就職・採用活動開始時期等に関する調査」令和6年度、2024年12月公表。これは大学4年の本選考の数字で、インターンそのものの提出社数ではありません)。何社にも出すからこそ、1枚あたりの精度が効いてきます。使い回しの志望動機を10社にばらまくより、本命の3社をきちんと書き分けるほうが、結果は良くなります。
サマーインターンの選考は、ES・Webテスト・グループディスカッション・面接と続きます。書類はその入口にすぎません。選考フロー全体と面接・GDの突破法は、28卒向けのサマーインターン対策記事で詳しく解説しています。まず書類を通すために、志望動機の中身を作り込んでいきましょう。
受かる志望動機の「型」――結論→学びたいこと→活かせる強み→将来像
志望動機が書けないとき、たいてい原因は「何から書くか」が決まっていないことです。次の4つの順番で組み立てると、短い文字数でも芯が通ります。
- 結論:このインターンに参加したい理由を一文で言い切る
- 学びたいこと:プログラムを通じて具体的に何を見たい・身につけたいのか
- 活かせる強み:自分の経験のどこが、その場で役に立つのか
- 将来像:この経験を、その先のキャリアにどうつなげたいか
最初に結論を置くのは、採用担当が大量のESを短時間で読むからです。一文目で「何をしに来た人か」が伝わると、その後の文章が頭に入りやすくなります。
「学びたい」を受け身で終わらせない
この型で最もつまずくのが、2つ目の「学びたいこと」です。「業界について学びたい」「実務を経験したい」と書くと、一見まじめに見えて、実は減点されやすい。なぜなら、その裏に「教えてもらえるから」という受け身の姿勢が透けるからです。
インターンは授業ではありません。短い期間でも、学生は現場に入って手を動かす一員として見られます。だから「何を教わりたいか」ではなく、「何をしに行くか」で書きます。
✗ 受け身:「マーケティングの仕事を基礎から学びたいです。」
○ 主体的:「大学のゼミで顧客アンケートを分析してきました。実際の商品企画で、その数字がどう意思決定に使われるのかを現場で確かめたいと考えています。」
後者は、自分から持ち込むもの(分析の経験)と、現場で確かめたいこと(数字の使われ方)が具体的です。同じ「学びたい」でも、印象はまるで違います。
「どの企業にも出せる志望動機」を避ける
もう一つの落とし穴が、他社にもそのまま出せてしまう志望動機です。「成長できる環境だから」「社会に貢献したいから」――こうした言葉は、どの会社にも当てはまる分、誰の心にも残りません。
ここで企業研究の出番ですが、隅々まで調べる必要はありません。狙うべきは1点です。「この会社の、このプログラムでなければならない理由」が言えるかどうか。事業内容、扱う商材、インターンで体験できる職種。そのどれか一つでいいので、自分の関心と結びつけてください。説明会のメモやインターン募集ページの「体験できる業務」欄を読み返すと、手がかりが見つかります。
文字数は、削る順番を決めておく
ESの志望動機は、200字・300字・400字と指定がまちまちです。毎回ゼロから書き直すと時間が足りません。先ほどの4要素に優先順位をつけ、短いときは下から削ると決めておくと早く対応できます。
- 400字前後:結論+学びたいこと+強み+将来像、4つすべて
- 300字前後:将来像を1文に圧縮、または結論に溶かす
- 200字前後:結論+学びたいこと+強みの3点に絞り、将来像は省く
どの長さでも、結論と「学びたいこと」だけは必ず残してください。この2つがインターン志望動機の核だからです。
ES設問別の書き分け――志望動機・「学びたいこと」・ガクチカ
サマーインターンのESでよく問われるのは、志望動機、「このインターンで学びたいこと」、そしてガクチカ(学生時代に力を入れたこと)や自己PRです。設問ごとに役割が違うので、同じエピソードを使い回さず、聞かれていることに正面から答えます。
インターン特有の「学びたいこと・得たいこと」
本選考のESにはあまり登場せず、インターンで頻出するのが「このプログラムで何を学びたいか・得たいか」という設問です。志望動機と内容が近いため、丸ごと同じことを書いてしまう人がいます。
書き分けの基準はシンプルです。志望動機は「なぜ参加したいか(動機)」、学びたいことは「参加して何を持ち帰るか(目標)」。後者では、プログラムの中身に踏み込んで、具体的なゴールを置きます。「3日間で、企画が顧客データをどう根拠にしているかを言語化できる状態になりたい」のように、終わったときの自分を描けると、参加後のイメージが伝わります。
ガクチカ・自己PRは「設問の一つ」として要点だけ
ガクチカや自己PRも、志望動機と同じく「結論→根拠→具体例→結論の再確認」の順で書くと整理できます。企業が見ているのは、華やかな実績ではありません。経団連のアンケート(2021年調査)でも、採用で特に期待する資質として約8割が「主体性」「チームワーク・協調性」を挙げています。特別な受賞歴より、その経験で何を考え、どう動いたかという過程のほうが評価されます。
ガクチカや自己PRをどう構成し、強み別にどう例文化するかは、それだけで一本のテーマになります。深く詰めたい場合は、面接の自己PRで差がつく伝え方を解説した記事を参考にしてください。ここでは、ES全体のなかで志望動機と矛盾しないことを優先します。志望動機で「分析力を活かしたい」と書いたなら、ガクチカでも分析にまつわる経験を選ぶ。設問同士がつながっていると、人物像がぶれずに伝わります。
【Before/After】志望動機はこう直す――採用担当の視点で
型を知っても、自分の文章を直すのは難しいものです。よくある2つのパターンで、どこをどう直すと採用担当の見え方が変わるのかを示します。
改善例1:消費者目線から、働き手目線へ
Before
「御社のアプリを高校時代から使っていて、生活に欠かせない存在です。大好きなサービスを作る現場を体験したく、志望しました。」
愛着は伝わります。ただ、これはユーザーとしての感想で止まっています。採用担当の目には「お客様が遊びに来た」ように映り、働き手としての視点が見えません。
After
「御社のアプリを長く使う中で、新機能が出るたびに使い方が自然に変わることに気づきました。ユーザーの行動をどう観察し、機能の改善につなげているのか。その過程を、開発の現場で確かめたいと考えています。」
好きという入口は同じでも、後者は「観察と改善のプロセスを見たい」という働き手の関心に着地しています。利用者の体験を、作り手の問いに変換できているかどうか。ここが分かれ目です。
改善例2:どの企業でも言える内容から、このプログラム固有へ
Before
「成長できる環境に身を置きたいと考え、志望しました。若いうちから裁量のある仕事に挑戦し、社会に貢献できる人材になりたいです。」
立派ですが、社名を入れ替えてもそのまま通用します。採用担当は「うちでなくてもいいのでは」と感じます。
After
「御社のインターンは、実際の新規事業案をチームで形にすると募集要項にありました。私はサークルでイベントの集客をゼロから設計した経験があります。仮説を立てて検証する進め方が、実際の事業でどこまで通用するのかを試したいです。」
募集要項の具体的な中身と、自分の経験を結びつけています。「このプログラムでなければ得られないもの」が見えると、志望度の高さは説明しなくても伝わります。
一人で書いていると、こうした「消費者目線」「どこでも言える内容」のクセは、自分ではなかなか気づけません。当塾では、採用担当の経験がある講師が、面接官の視点でES添削と模擬面接を行っています。書いた志望動機が現場でどう読まれるかを、出す前に確かめておくと安心です。
志望動機が思いつかないときの進め方と、6月のESラッシュの動き方
「そもそも志望動機が思いつかない」。この悩みは、やる気の問題ではないことがほとんどです。原因は2つに分かれます。
一つは、その企業をまだよく知らないこと。情報が足りなければ、書きようがありません。インターン募集ページの「体験できる業務」、説明会の内容、可能ならOB・OG訪問。材料を集めるところから始めます。もう一つは、自分の関心が言葉になっていないこと。この場合は企業ではなく自分を掘ります。これまで時間を忘れて取り組んだこと、人から頼られた場面を書き出すと、興味の方向が見えてきます。友人や家族に「自分はどんなときに動くタイプか」を聞く他己分析も、客観的な視点をくれます。
集めた材料を、先ほどの「結論→学びたいこと→強み→将来像」に流し込めば、志望動機の骨格はできあがります。ゼロからひねり出すのではなく、自分の中にすでにある関心と、企業の中身を結ぶ作業だと考えてください。
そして6月は、サマーインターンのES締切が立て込む時期です。主要な就活ナビの締切情報を見ても、この月に応募が集中しています。締切が重なると、つい1枚の志望動機を全社に使い回したくなります。けれど、それは最もやってはいけないことです。先に見たとおり、企業は「自社への熱意」を読んでいます。どの会社にも同じ文面を出した時点で、その熱意は伝わりません。
締切ラッシュを乗り切る現実的なやり方は、本命と併願で力の配分を変えることです。本命の数社は4要素をすべて書き分け、併願は型を使って手早く仕上げる。あわせて、出す前に必ず読み返してください。受け身になっていないか、社名を入れ替えても通用しないか、誤字や文字数オーバーはないか。この最終チェックだけで、防げる失敗はかなりあります。
サマーインターンの選考は、夏の体験で終わりません。ここでの評価が、秋以降の早期選考につながることもあります。タイプ3に該当するインターンで取得した学生情報は、採用活動開始以降に限り採用に活用できると、労働政策研究・研修機構(JILPT)も整理しています。だからこそ、夏の入口にあるES1枚を、面接に進める1枚にしておく意味があります。型はこの記事で示しました。あとは、その志望動機が他人の目にどう映るかを一度確かめてから、自信を持って提出してください。一人での仕上げに不安があれば、東京三澤面接塾のご予約はこちらから、採用担当経験のある講師に見てもらえます。